翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「たぶん……理性の神様かなぁ?」
「理性の神様??」
ノートの端に、デフォルメされたゆるキャラみたいな絵があった。
顔が物憂げな表情の美少年なのに、頭頂部はハゲ。しかも三頭身で上下ステテコ姿。
だからこれが理性の神様だと言われて華世ちゃんと顔を見合わせて吹き出してしまった。
「笑ってもいいけど、だいたい男にはこういうのが心のなかにいて、本能にブレーキをかけてるもんなんだと思うよ」
「ハゲのイケメン三頭身て!」
「華世ちゃん、もはやそれってイケメンじゃないと思うなぁ」
好き放題なことを言っても、岡崎君はちっとも表情を変えなかった。
「まぁこいつをもってしても理性がブッ飛ぶときがあってもよくない?
それって、いけないことなのかな。
本能ってすごくピュアなものだと思うけどな」
流れるように話すその声を、私も華世ちゃんも、もう茶化すなんてできなくなっていた。
「誰かを想うまっすぐな気持ちって、透明なサイダーみたいじゃない?
ごまかしなんて、初めっからきかないんだ」
好き放題言ってしまうと、ステテコ何色にしよっかなぁと本気で悩みだす始末。
「なんで色まで?」
華世ちゃんはすかさず突っ込みを入れたけど、私はといえば彼の言葉が終始胸に染みて、いい映画をみたときくらい実は感動していた。