翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

その視線を一言で言うなら、嫌悪感。
ものすごく、いやな感じがした。


一瞬なのに、舐めあげるようにじっとり見られた気がして、それがはっきり分かったら体が強張ってしまった。


でも翔ちゃんが変わらずぴったり身体を寄せてくれていたから、怖くはなかった。


まるで、私の不安を予知していたみたいに、男の子の視界を遮る場所に出て私を隠してくれた。


あれ?
これって、もしかして。


視線を下ろして自分の姿を確認してみた。
うそ……うちの制服ってこんなになっちゃうんだ。


傘を持ち歩け、濡れるなって翔ちゃんが口うるさく言ってたのには、後が面倒とか、風邪をひいてしまうとか、もしかしたらそれ以前の理由があったんだろうか。


もしかしてずっと、あのいやな視線に晒されないように、ずっと盾になってくれてた?
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