翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「そんなに拒絶しなくても……腕に針金が入ってるみたい」


余裕のある苦笑で奥寺が身体をこっちに寄せてくるから、強制的にひとつの傘に二人が収まってしまう。


「どうやって差そうが俺の勝手だろ」

「そういうまっすぐなとこも好きだな」

「さらっと告んな」


こいつ結構な恋愛上級者だったりして。


「だって、自分の気持ちに嘘つくなんて無理だもん。好きな人と相合い傘したいって思うくらいは自由でしょ?」


言い返す言葉がみあたらないどころか、自分が圧倒的に劣勢な気がしてきた。

< 20 / 347 >

この作品をシェア

pagetop