翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「岡崎は?」
「岡崎君はただのクラスメートだよ?」
「てっきり付き合ってんのかと」
「私と?まさか!」
岡崎君はずーっと奥寺さん一筋なのに。何をどう見たらそんなふうに見えるの?
「美緒はあいつのことが好きなんだと思ってた。さっきのは玉砕覚悟で━━」
「違うよ、わたしが好きなのは……」
言い終えないうちに、もう逃げられないくらい強く抱きしめられてしまった。
「おまえの恋見守らなきゃって思ってたんだけど、違うのならもう遠慮しない」
何もかもがふわふわしてる。
夢なら覚めないでほしい。
「わたし……翔ちゃんの彼女になりたい」
精一杯勇気を出してそう言ったけど、届いたかな?声ちっちゃすぎたかな。翔ちゃんが無言になってしまった。
「……翔ちゃん?」
きゅっと抱きしめ返した。
返事してよの合図を出したつもりだったんだけど。
「落ち着け俺……やばい」
翔ちゃんは自分に言い聞かせるように呟いただけだった。どういう意味なのかな。
「えーと、とりあえず今日は帰ろう!送るし。マジでこの状況ダメなやつだから」
何かをごまかすみたいに茶化して、困り顔のままやさしく頭を撫でてくれた。