翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「実は翔ちゃんが高熱で倒れたとき……」

「あの時?なんで?」


学校を早退したのに美緒を迎えにいって、記憶なくすくらい高熱に唸ったあの日?


「ほんとひどかったんだから。夢遊病みたいだったよ」


思い出した。そのときの夢が、ものすごくリアルだったこと。


「あれって夢じゃなかったんだ?てことは俺、美緒のこと触ってたの?」


嘘だろ。


「翔ちゃん意識ないし、熱い手が背中に伸びてくるし、ひとりでパニックだったんだからね」


意識も理性もなくしてなにやってんだ俺。


「ついでに言えば、外され……いや、外れたの」

「何が?」

「背中のあの、あのぉそのぉ」

「……え!」


美緒は少しむくれて、更に赤くなって下を向いてしまった。
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