無口な彼の熾烈な想い
「知っていたらプレゼントを用意したのに」

「もしかして兄がリークしたの?気を使わせるってわかりそうなものなのに本当ごめんね」

眉間にシワを寄せる絢斗に鈴は笑顔で謝った。

「それに、プレゼントならすでに貰ってるよ。昨日ご馳走になったお料理、本当に美味しかったし、私のことを考えて作ってくれたんだって伝わってきた」

「あれはプレゼントとは違う。仕事とプライベートを一緒にしたくはない」

ますます怪訝な顔で見つめてくる絢斗の表情には妙な迫力があった。

「そ、そうなの?私には十分過ぎたけど」

戸惑う鈴の前で、絢斗はいつの間に買い物したのか、コンビニのビニール袋から小さな箱を取り出した。

「夜だったからこんなものしか売ってなかったけど、誕生日おめでとう」

絢斗が差し出したのは、サンタの人形が乗ったロールケーキ。

チョコレートでコーティングされたそれは、見た目も大人向けでお洒落なクリスマスケーキだった。

「さっきもケーキ食べたから、もう食べられないかもしれないが・・・」

「ううん。ありがとう。ケーキは別腹だから・・・って既に食べてるから説得力ないか。いや、もう消化したから大丈夫だよ。絢斗さんも一緒に食べよう」

鈴は立ちあがり、二人分の皿とフォークを持ってリビングに戻ってきた。

「うん。美味しい。ブランデーが効いてて大人の味だね」

「ああ、これなら俺も食べられる。ブランデーケーキってあんまり作ったことないけど意外にイケるな」

甘いものが苦手な絢斗も、半分こしたロールケーキを一息に食べ終えている。

鈴も、深夜のケーキはダイエットの大敵とはいえ、誕生日の今日だけは無礼講だと自分に言い聞かせてケーキを完食した。

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