無口な彼の熾烈な想い
ほんのり赤い顔をした絢斗は、慌てて駆けていく鈴を見てうっすらと笑った。

コンビニに寄って鈴の誕生日祝いのケーキにブランデーケーキを選んだのも計算のうちだ。

鈍い鈴と不器用な絢斗の二人では、明日明後日という短期間で親密な関係に進展するとは到底思えない。

鈴に絢斗が男だと意識してもらうためには、何らかのインパクトのあるきっかけが必要だった。

あいにく絢斗はお酒に弱く、少量のアルコールでも顔に出る。

しかし、実際は酔うことはなく意識は正常なのだが、他人からどう見えるのかが大事なことで、今回はそれを逆手にとって利用させてもらった。

鈴の家に入り込める確率はフィフティフィフティだった。

まだ眠そうな鈴をソファで寝かしつけ、ある程度時間を稼いでからクリスマスイブを迎える。

誕生日を誰よりも一番早く祝いたかった。

それもあったが、それ以上にもっと長い時間鈴のそばにいたくなったのだ。

そばにいればどんどん欲深くなる。

自分の中にこんな人間らしい気持ちがあったなんて信じられないが、嬉しさに胸が高鳴る。

絢斗は、食べ終えたケーキの皿とフォークを持ってキッチンに移動した。

そして、車内で考え付いた鈴攻略法を実行するに至った過程に思いを馳せていた。

< 116 / 134 >

この作品をシェア

pagetop