無口な彼の熾烈な想い

約束の５分前、鈴はエレベーターでエントランスまで降り、約束の迎えとやらを待っていた。

黒地にレースのアイラインワンピースを身につけた鈴は、ナチュラルに見えるがしっかりとしたメイクにハーフアップの髪型でエレガントさを醸し出していた。

そこにはいつもの高校生のような幼さも、素顔の素っ気なさもない。

元々スタイルも良く、顔面偏差値もソコソコ高いのだが、なにせ本人にやる気がないだけ。

残念美少女と呼ばれる由縁であったが、やる気をだせばどんなイケメンでも落とせる可能性があることに本人だけは気づいていなかった。

てっきり兄夫婦が迎えにくると思っていたが、待ち構えていたのは大きなRV車。

出てきたのは、そう性格は残念？な３次元イケメン。

ダークグレーのカジュアルなスーツをおしゃれに着こなす瀬口絢斗、その人だった。