離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 
 郁実と少し話したあと仕事に戻り早番の勤務を終えた私は、スーパーに寄って買い物をしてから家に帰った。

 キッチンのシンクでバジルの葉を洗い、オリーブオイルと黒コショウですでに味をつけたトマトとモッツァレラチーズの上に飾りつける。

 オニオンスープもできたし、あとはオムライスを仕上げたら完成かな。

 クッキングヒーターの上に置いたスープの鍋を覗き込み、ひとりうなずいた。

 普段家事をしていても取り上げられてしまう私は、早番で先に帰っているときを狙い夕食の準備をした。

 おととい助けてくれた高城へのお礼の気持ちだった。

 送迎の件もあるし、さすがの高城だってこれくらい受け入れてくれるだろう。

 別に私があの男を喜ばせたいわけじゃないけれど、離婚するには早くあの男を私に夢中にさせないといけないから、それだけよ。
< 130 / 204 >

この作品をシェア

pagetop