離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 戸惑う私はうつむいて唇を噛みしめる。しかし、自分の目的を思い返し、ひと呼吸置いてから高城に笑顔を向けてふふっと笑った。

「悠人さんもそんなふうに思ったりするんですね」

 そう言って、高城の胸に飛び込む。

「心配しなくても、私はとっくに悠人さんしか見ていませんよ」

 言い終えてまもなく、私の背中を高城の腕が包んだ。

 八年前のあの日から、私はあなたしか見ていない。

 嫉妬心をここまであらわにしたくらいだ。この男の気持ちはもうずいぶんこちらに向けられている。

 高城がどうしようもなく私を好きになったくらいに離婚を突きつけて、呆然とする前で真実を語ってやるのだ。

 すぐそばまで迫る待ち望んでいた瞬間を想像すると、私の胸に鈍い痛みが走った。その痛みのわけがわからず、私は困惑する。

 まさか、この男相手に罪悪感を感じてるの?
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