離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「同い年で、家も隣同士だったんです」

「特別な存在なんだな」

 ささやくように言った高城が、私の頬に触れた。

「あんな笑顔を見せるくらい、彼が好き?」

「どうしてそんな――」

 愁いを帯びた眼差しに貫かれ、私は言葉を呑む。

「君が俺には見せたことない顔でほかの男に笑いかけているのを目の当たりにして、たまらなく嫉妬した。君の視界に俺以外映らなければいいのになんて子供じみたことまで考えたんだ」

 私は動揺し、心が激しく騒ぎ出すのがわかった。

 高城が不機嫌だったのは、郁実に嫉妬していたからだったんだ。私が高城に見せない顔をほかの男性の前でしていたからって、それだけでこの男はこんなにも心を乱されるの?
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