離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「なぁ、まつり。この街で俺と一緒にやり直さないか」

 郁実は、突然言い放った。

 えっ?

 驚きのあまり呆然とする私に、郁実はさらに言葉を続ける。

「復讐したって幸せにならない。全部を忘れることはできないけど、俺はお前に昔のように穏やかに暮らしてほしい。あのとき止められなくて悪かった。でも、今からでも遅くない。俺は自分の手でお前を幸せにしたいんだ。お前が好きだから」

 ……郁実が、私を好き?

 考えを喪失し、私は声にならない声を上げた。

「驚いてるよな。俺はずっとお前が好きだった。結婚するって聞いたときも全部ぶちまけて止めようと思った。でも、お前の気持ちもわかってたから」

 私の気持ち?

 当惑する私に、郁実が困った顔のまま苦笑する。
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