離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 * * *

 郁実と会ってから数日後。

 寝る準備をしてダイニングチェアでしばし休憩していた私は、椅子の背もたれに背中を預け、白い天井を眺めていた。

 すると、突如視界に高城の顔が現れて、私は驚いて小さく身体を跳ねさせる。

 仕事から帰って一緒に夕食を取り、『少しやることがあるから』とそのまま部屋にこもっていた高城が、いつのまにか私の顔を覗き込んでいた。

 起き上がって振り返る私に、高城が話し出す。

「また考え事をしていたようだけど、大丈夫? なにかあった?」

「なにもないですよ。お腹もいっぱいになって、のんびりしていただけです」

「この前みたいなのはもうない? もし気になることがあるなら些細なことでも隠さないで教えてほしい」

「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫です。少し疲れているのかもしれません」

 なんとなくうしろめたくて、私は視線を逸らしながら言った。
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