離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「そしてあの夜、俺はやっと君と話ができたんだ」

 私もそう思っていた。長い間捜し続けた因縁の相手とようやく向き合っていると。

 もう何度も驚いている私は、考えがうまく追いつかず言葉が出ない。

 落ち着かず視線をさ迷わせる私の頬を、高城が撫でた。その心地よい体温に、私は思わず身を寄せたくなるのを堪える。

「こんなふうに言うとまつりは怒るかもしれないけど、俺のために日に日に綺麗になっていく君を見ているうちに、何度も手を伸ばしそうになった。絶対に俺のものにしたいと思っていたんだ。俺は君が好きだよ」

 高城は、一段と柔らかな口調で言う。初めて知る高城の本当の想いに、私は涙ぐむような愛おしさが胸に迫った。

「これからは君の人生を俺ができる限り豊かなものにしていけるよう頑張るから、俺と本物の夫婦になってくれないか」

「私と本物の夫婦に?」

「君をこの手で誰よりも幸せにしたいんだ」

 嬉しさで胸がいっぱいになるけれど、我に返った私は頬にあった男の手に手を重ね、そっと押し返す。
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