離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「私はあなたを苦しめようとしていたんですよ。大切な婚姻を復讐なんかに利用した私がこのままあなたの妻になるなんて虫がよすぎます。悠人さんのご両親にも申し訳が立ちません。家に帰ったら……私と離婚してください」

 身を切るような思いで告げた。

 高城はこうべを垂れる。その表情は窺えなくなり、私は堪らず「……悠人さん?」と声をかけた。

 とんでもないことをしてしまったのだと、今さらながら罪の意識が心に重くのしかかる。高城の顔を覗き込もうとしたところで、急に男の肩が小刻みに揺れ出した。

 私はきょとんとする。すると、勢いよく顔を上げた高城は、なぜかおかしそうに笑みを噛み殺していた。

 呆気に取られている私に気づいた高城が、「ごめん」と発する。

「でも、よかった。虫がよすぎるってことは、まつりは俺とこのまま夫婦になってもいいと思ってくれてるんだ」

 そう言って迫る高城に、私はぐっと言葉を詰まらせた。腕を引かれ、高城はよろけて胸へと飛び込む私を抱き留める。
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