離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「俺のところはもう書いてあるんだ。まつりもお願い」

 テレビや映画で目にした覚えのあるその紙は、婚姻届けだった。

 左上に茶色の文字で婚姻届と書かれている紙はこの男の言う通り、あとは私が記入をすれば完成するよう保証人の欄までしっかり埋められていた。

「本当にご両親に挨拶してからじゃなくていいんですか?」

 私は高城から差し出されたボールペンを受け取りつつ、問いかける。

「報告はしてあるから大丈夫。ふたりとも賛成していたよ。父が海外から戻ったら皆で食事でもしよう」

 高城の父は、現在仕事で長期間海外へ行っているらしい。

 そのため入籍は高城の父が帰国してからになるかと思いきや、先に入籍して顔合わせは高城の父が戻ってから行うことになった。
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