離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 自分でもどんな表情になっているのか想像できない顔を見られたくなくて、私の首筋に顔を埋めていた高城の頭を抱き寄せた。

 一瞬驚いたように動きを止めた男が、抱きしめながら私の髪を撫でる。

「まつり。必ず君を幸せにするから」

 柔らかな口調でささやかれた。私は男の背中に爪を立てそうになるのを必死に堪え、唇をきつく結ぶ。

 身体を離した高城が私をベッドに寝かせ、大きな手は私の頬に添えられる。こちらを見下ろす男は、悲しげに顔をゆがめていた。

 その表情に、私の胸がどきりと音を立てる。

 どうしてあなたが今そんな顔をするの? 泣きたいのは私なのに。

 気づくと私は、瞬きもせずに高城に見入っていた。

「唇、痛めるからそんなに噛まないで」

 そう言った高城が、再びキスを降らせる。私の唇は男の舌に解かれ、優しく何度も食まれる。舌先に唇をなぞられると、いたたまれなくなって目を強く瞑った。

 想像していたものとはまったく違い、先ほどからされるがままで精いっぱいだった。
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