離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「でも私、梅原さんのご主人どこかで見たことある気がするんですよね。どこで見かけたんだろう」

 考えるように斜め上を見上げる麻有ちゃんに、私はドキッとする。

 高城はメディアにも出ている。麻有ちゃんがどこかであの男の顔を目にしていてもなんら不思議ではなかった。

 バレるとあとあと面倒だと思い、私は「よく誰かに似てるって言われるんだよね」とごまかす。

 すると、納得した様子の麻有ちゃんが、奥二重の大きな目をさらに輝かせてこちらに迫った。

「ご主人とはどこで出会ったんですか?」

「知り合いに誘われた企業パーティーで、ちょっとね。私も休憩入ってくるから、麻有ちゃんあとはよろしく」

 奥の厨房にいる従業員にも「休憩いただきます」と告げ、私はそそくさと休憩に入る準備を始める。
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