離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
この季節の夕日は、みるみるうちに夜に吞み込まれる。
十八時半に閉まる店の閉店作業を終え、カフェの制服から私服のモノトーンの小花柄ワンピースに着替えた私は、店のそばのガードレールを背に高城が来るのを待っていた。
夜は肌寒くなるかと思って軽めのアウターを持ってきておいてよかった。
ワンピースの上に羽織っていたベージュのマウンテンパーカーの襟もとを引き上げると、私は腕時計で時間を確認する。
私が店を出てから三十分ほどが経っていて、時刻はまもなく二十時になろうとしていた。
この前あの男は、終業時間は十九時と言っていたから、もう少しかかるかな。
ふうっと肩で息をした私は、硬い靴音が近づいてきているのに気づき、音のするほうへ顔を向ける。すると、高城がこちらへ駆けてくるところだった。