離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 高城は、地下駐車場の空いている場所に車を止める。車から降りた男がこちら側に回り、助手席のドアを開けた。

「お待たせ。着いたよ」

 そう言った男は私のシートベルトを外し、手を取って私を車から降ろす。地面に立って周囲を見回した私は、ここがどこの駐車場かわからなくて呆然とした。

「こっちだよ」

 言われた通り高城のうしろを着いていくと、すぐに出入口のようなガラス戸が見えてくる。高城はそのスモークがかったガラス戸を押し開け、先に私を中へ入れた。

 建物の中はダークトーンの照明が高級感のある黒い石材の床を照らしていて、木製パネルの壁を辿った先にはエレベーターホールが覗いていた。

 私はその圧倒的な雰囲気に呑まれそうになる。

 まさか、この場所って……。
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