ライオン少女は宇宙系男子を落としたい
「その相手は誰なの……?」

「そこまではわからない。その人に似てる人なら好きになってもらえるかもしれないけど……たとえそうなっても、彼女を重ねてしまうんじゃないかな」



見かけ倒しと思ったもう1つの理由。

それは、凛々しい見た目と違って女々しいからだ。



「詩恩くぅ~ん、お・ま・た・せ♡」



話に夢中になっていたら、健がお粥を持って部屋に入ってきた。

今、なんか寒気がしたような……。



「健特製、愛情たっぷり粥だよ♡」

「ありがとう。不気味すぎて悪寒がするから、その口調と語尾のハートやめてくれる?」



お礼を言ってハッキリ指摘すると、拗ねた様子で口を尖らせた。



「もー、ダウンしてても口調は変わらないのな。あ、あーんしよっか?」

「結構です」



お粥を受け取り、キッパリ断る。

すると、明莉がクスクス笑い出した。



「良かった! いつもの冷たくて腹黒な詩恩で安心したよ!」

「それもそうだね。逆に優しくて甘々な詩恩だとちょっと怖いよな。何か企んでそうだし」



俺の悪口で盛り上がっている2人をスルーして、黙々とお粥を食べる。


甘々か……。ここ数年、人に甘えたことあったっけ。

兄さんはともかく、親に甘えたこと……中学生になってからはあまりないかも。
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