これを愛というのなら
蓮との約束に、まだ浮き足だっていた翌日ーー。


賄いのお昼ご飯を食べた数時間後、私の身体に異変が起こった。


なんか苦しい!

腕が、喉が、痒い!

その異変に、いち早く気付いてくれた利香。


「梓?大丈夫…?」


大丈夫じゃない…

喉もウズウズ痒いせいだろう。

掠れた声で答える。


無意識に腕や首を掻いていたらしく。


「掻いちゃだめ!」


利香の声に、ハッとして、掻くのを止めても……
痒くて、痒くて…辛いよ…


「…まさかっ…蕁麻疹?」


そう、気付いてくれた利香に、


うん、と頷く。

もう、声を出すことすら辛くて…


デスクに頭を載せて、大きく深呼吸を繰り返す。



「チーフ!梓が…蕁麻疹!急いで、救急車!」


利香が、チーフに話してくれてる。





チーフが、私の方へ駆け寄ってくる足音がする。


「おいっ!倉本っ!」


揺さぶられてる、近くでチーフの声がする。


「救急車、呼ぶからな!来るまで、そのまま大きく深呼吸してるんだぞ!」



入社してから、何回か出たこの症状。

だから、利香とチーフは対処に馴れてくれている。



きっと、鈴木や他の子たちは、私がアレルギー持ちだって知らなくて。

おどおどしてるんだろうな。


一切、声がしない。


チーフが救急車を呼んでくれてる声がする!


そして、、、


「鈴木!今すぐ厨房に行って、料理長に知らせて来て!」


利香が、鈴木に蓮に伝えるように頼んでくれてるんだ。



大きく深呼吸しながら、痒いのに掻けないことのムズムズとの戦い。



蓮……助けて……

痒いよ……苦しいよ……



「はいっ!」


と、返事をした鈴木が慌てて事務所を出ていく音がする。



鈴木、早く蓮を連れて来て……
< 33 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop