時空とか次元如きが私とレイきゅんの邪魔をしようなど……笑止!!
「レイ様素敵だわ。でもフェルチアさんが……」
「ええ。レイ様は……」




 国から表彰されたレイきゅんは、学園内でも前よりも騒がれるようになった。でも悪魔退治をしたレイきゅんと同じぐらいに私も騒がれてるんだよねー。



 それに私のことも色々言われていたりするんだよね。まぁ、それでもレイきゅんが幸せになれるならそれでいいっては思っているけれど。



 それにしても悪魔は倒したけれど、『魔王』はいつ生まれるんだろうね? 『魔王』が出てきたらレイきゅんが闇落ちしないようにしないと。
 いや、正直なことを言うと私はレイきゅんが幸せになってくれているのならば、レイきゅんが闇落ちをしようがいいんだけど。でもレイきゅんには幸せになってほしいから、闇落ちしない方がいいんだけどね。




「レイはやっぱりかっこよくて、素敵だわ!! レイはこれからもっとかっこよくなるもの!! 私のレイは世界一かっこよくて、世界一素敵だもん」
「はいはい。……フェルチアはいつも僕のハードルあげるね。僕は悪魔を倒せたけれど、それ以上フェルチアが言うようになれるとは限らないんだからさ」
「ふふ、レイはそんなこと考えなくていいんだよ? レイはそのままでも十分かっこよくて、素敵なんだから。私にとってレイは世界で一番かっこよくて、私にとって一番素敵な人なんだもん!! だからね、レイがレイのままでいてくれたら私にとってはそれだけでいいんだから」




 ――今だってかっこいいのだ。今だって素敵なのだ。どんな人よりも私にとっては素敵なんだ。
 だからレイきゅんがどんな結果を残しても私にとってはそれはそれで素敵となるだけだもの。




「……そう」
「うん。そうだよ」



 レイきゅんの言葉に私はただそう口にした。


 ああ、もうレイきゅんの傍にいられるだけでなんて幸せなんだろう。レイきゅんがいてくれることが幸せなんだよね。



 
 そんなことを考えながら私は楽しく過ごしていた。









 そうしているうちに、魔物が活発化しだしたりして、『魔王』が復活しようとしているのではないかということが分かった。




 ちなみにそうこうしているうちにトアーノちゃんが聖女として認められたりもしたよ! 国の上層部の中には、悪魔を倒した英雄であるレイきゅんと、聖女になったトアーノちゃんをくっつけようとした動きもあった。



 だけれど、それは本人達が否定したためそれは実らなかった。私はほっとした。ヒロインであるトアーノちゃんがレイきゅんの心を奪っていくのではないかってハラハラしていたから。



「レイ、魔物も活発化しているね。レイ、魔物退治行く? それで元凶である『魔王』倒す??」
「……フェルチアはなんか『魔王』というのが生まれるって確信している言い方だね。やっぱりフェルチアは不思議だよ」
「ふふ、私はちょっとそういう情報を知っているんだよ!!」



 レイきゅんは突然現れた私の事を受け入れてくれた。私みたいに突然現れてレイきゅんのことが大好きって態度を示す存在を何だかんだ受け入れて、今も笑いかけてくれる。
 だけど流石に私が前世からレイきゅんのことが大好きで、今世でもレイきゅんが闇落ちしたことを許せなくてこうして過去にやってきた。……うん、我ながら愛情が重い。



 レイきゅんは、そういう私のことを知ってどう思うだろうか。ひかれちゃうだろうか? レイきゅんに引かれるのは嫌だなぁ。



「……フェルチアさ」
「なぁに?」
「僕がフェルチアが何処から来たかとか知りたいっていったらフェルチアは教えてくれるの?」
「……うん。レイが知りたいなら。私は何でも答えるよ」




 ――レイきゅんに引かれたら嫌だなぁ。レイきゅんに嫌がられてしまったら嫌だなぁ。でも私レイきゅんに引かれてもレイきゅんの前に現れなくてもこそこそと見守りはするけれど。
 私がじっとレイきゅんの目を見て言えば、レイきゅんは首を振った。




「今はいいよ。フェルチアはその現れるらしい『魔王』の事とかでいっぱいでしょ。それが片付いてから、ちゃんと聞くから」
「レイは私のことを結構見ているよね。ああ、もうレイが私の事を見ているかと思うと嬉しい!!」





 レイきゅんが私の事を見てくれていて、私が言っている言葉を信じてくれることが嬉しい。
 ああ、『魔王』の事を解決した後にレイきゅんと腹を割って話す。うん、ちょっとドキドキするけれど、不安ばかり考えても仕方ないよね!!




 レイきゅんと一緒に『魔王』のことをどうにかしないとね!


< 13 / 16 >

この作品をシェア

pagetop