奥手な二人の両片思い
ワクワクした目で尋ねてきた綿原さん。

ネタバレにならない程度に教えるか。



「クリスマスツリーコーデだよ」

「ツ、ツリー……? サンタとかじゃなくて?」

「じゃんけんで負けてツリーしか選べなかったんだ」

「そうなんだ……」



苦笑いしてる……。

まさか、木とは思わないよな。
しかもコスプレ用の服じゃなくて、普段着でだし。



「綿原さんは?」

「私も一応、トナカイ風コーデで行く予定だよ」



トナカイ……水沢くんと同じだ。

彼、綿原さんのことちょっと苦手みたいだから、なんか気の毒だな……。


反面、綿原さんは喜びそう。

「モルくん」って呼ぶくらい気に入ってるみたいだし。
それに、彼の女装姿に興奮してたって言ってたし……。



「クリスマスツリーコーデ……想像つかないなぁ」

「あとのお楽しみだよ♪」



その後、電車に乗り、自転車を漕ぎまくって急いで帰宅。

パーティーに行く準備に取りかかった。


プレゼント持った、料理も持った。

服装と髪型もオッケー……っと。



「よし! バッチリ!」



母に帰る時間を伝え、再び自転車に乗って駅へと走った。
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