俺のカノジョは
ここまで、一息だ。
一息でここまで言った、彼女。
どこからか雑誌を取り出してアイドルグループだという男の顔を指さしている春香。
その顔は、確かに10人に聞いたら10人ともイケメンだと答える顔立ちだった。
芸能界というところには、こんなイケメンがいるのか。
というのが、感想であったが……彼女は我に返ったのか、顔を真っ赤にして雑誌で覆い隠してしまった。
「やっちゃった……」
「すごい肺活量だな」
「突っ込むのはそこじゃないでしょ……まろちゃん」
「アイドルが好きなのはわかった」
「うん。引いたよね……あんな一気にしゃべる女……」
「驚いたけど。まぁ……いいんじゃないの? みんな好きなことはあるし。春香は男性アイドルが好きってだけだろ?」
「いや、熱量自分でもおかしいと思うんだけど」
「熱中できることがあるっていいじゃん。こんな仕事してるからこそ大事だと思うけど?」
「………っ……ほんきで言ってる?」
「うん、別にいいじゃん。オタクだろうがなんだろうが。好きなもの好きって言いなよ」
ポンポンッと頭を撫でると、目に涙を溜めた春香は勢いよく抱き着いてきた。