魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜 II
「全然緊張してないみたいだね、レン」

「はい。私の方が緊張してしまっています」

緊張でジュエルの手は震えている。ユーゴはそんなジュエルの手を取り、「では緊張を少しほぐしましょう」と言い、ダンスを踊る人たちの輪の中へと連れて行く。一曲踊らなければならないのだ。

ユーゴやダンスの先生としたことを思い出し、ジュエルはユーゴと共に踊り始める。ゆっくりとしたメロディーに合わせ、ユーゴのリードに合わせて動いていく。

「綺麗だな」

「庶民の方とは思えないわ」

そんな言葉が聞こえ、ジュエルはクスッと笑ってしまいそうになった。ユーゴを見上げれば、楽しげに笑っている。

「ダンスが終わったら、キスをさせて」

ジュエルにしか聞こえないよう小声で言われ、ジュエルは顔を赤く染めた。




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