不器用同士


影響されてしまった。


私には返してくれる人なんていないのに。



「はぁ…」


靴を脱いで、真っ暗なリビングに電気をつけた。


朝と変わらない光景。



同じ状態で放ったらかしの食器や、脱ぎ散らかしたパーカーなどが散乱していた。


面倒だけど片付けなきゃ。



椅子を引いて鞄を置き、腕を捲る。



よし、まずは皿洗いだ。



キッチンに向かう足を止めたのは私の携帯から鳴る音だった。




あれ、電話?



悲しいことに友達がいない私にとっては電話をかけてくるような人はほとんどいない。


携帯を手に取ると、電話をしてくれる数少ない人の名前が表示されていた。



「もしもし」


「おー、光莉。久しぶりだな」


「久しぶり。電話かけてくるなんて何ヶ月ぶりじゃない?」


「悪い悪い。最近、忙しくてな」


「そういえば生徒会長になったんだってね。あの凌駕が」


「あのってどういう意味だ、こら」



電話の相手、私の幼馴染の田坂 凌駕(たさか りょうが)

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