不器用同士
[こちらこそ、タクシー代まで払ってもらってありがとう]
送信を押して、携帯をサイドテーブルに置いた。
壁にかけてある時計を見るともう10時近くなっていた。
明日も学校だし、早めにお風呂入らなきゃ。
なかなか動かない体をなんとか起こし、脱衣所に向かった。
一階に降りて、脱衣所を開けようと手をかけたところでガチャっと玄関のドアが開いた音がした。
「…ただいま」
「………あ、おかえり」
玄関に立つスーツ姿のお父さんと目が合う。
まさか帰ってくるとは思わなかったから固まって目が逸らせなかった。
「………」
先に逸らしたお父さんが靴を脱ぎ、家に上がった。
「…帰ってくると思わなかったから夜ご飯用意してないよ」
リビングに入って行くお父さんに声をかけた。
「あぁ、食べてきたから大丈夫」
完全にお父さんの姿が見えなくなってから、私もようやく足が動いた。