不器用同士
この時間に通学路を歩いている人は私以外誰もいなかった。
並木道の桜は全て散っていて、緑の葉っぱが生い茂っている。
いつもと変わらない景色を見ながらゆっくり歩いていると、カバンに突っ込んだ携帯が震えたのがわかった。
カバンの中を手探りで携帯を探す。
未だ震え続けている携帯を手に取り、表示された名前を見る。
「…げ、」
できるなら出たくない相手からの着信だったので思わず足を止めた。
無視しようとまたカバンに戻しても鳴り続ける携帯。
…あー、もういい加減うざい!
勢いよくタップして電話に出る。
「もしもし!朝からなんの用?」
「…散々無視しておいて逆ギレかよ。にーちゃん悲しい」
私が不機嫌丸出しで電話を出たのが不満なのか、無視したのが不満なのか…優也がぶつぶつ文句を言っている。
優也、私の血のつながらない兄。
今となっては兄とも言えないような曖昧な関係だけど。