明日、雪うさぎが泣いたら

「色気のない台詞ね、眠り姫様。朝の第一声が、朝餉の心配だなんて」


起きがけの、寝乱れても全く艶のない私を一目見て、上から盛大な溜め息が降ってきた。
呆れたような、でも、心配そうに私の目をじっと覗き込んでくる。


「また、あの夢?」


私の側に膝をつくと、チラリと辺りに目を走らせる。
さりげなく何も異常がないことを確認し、ぽんも肩を叩く。


「……うん」


私がなかなか起きてこない日は、決まってあの夢を見ていると知っているからだ。
そして、それが皆の言う「良くないもの」のせいだと信じている。


「まったく、一彰(かずあき)は何をしているのかしら。陰陽師なんて名乗っているくせに、何の役にも立たないわ」


可哀想に、こういう時に必ず一彰に矛先が向く。
私をぎゅっと抱きしめると、長閑はここにはいないもう一人の幼馴染みに文句を言い始めた。

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