綺桜の舞う
「私?私はね〜。今付き合ってるのは私だし、好きでいてくれてるのは私だけだし。って思い込む。
思い込んだ上でその日は1秒も離れない。
あわよくば抱き潰す」


……なんちゅうことを教えてるんだ、やめろ。


「……思い込む」


じっと、俺のことを見つめる叶奏。


「好き?」
「うん」
「……好き?」


俺は姉貴の存在を気にする。
ただ、今言わないっていう選択肢だけは1番取っちゃダメなことはわかってる。


「好き」


「湊が好きとか言ってんの初めて見たんだけど、キモ」
「キモくねーし、死ねよ」
「黙れクソガキ」


姉貴もヤンキー上がりだから口が悪くてもう。
うちの家は基本治安が悪い。


「……」
「叶奏?」


トンっと俺の肩に頭を置いて、多分、目を閉じている。


「裏切ったら、殺せる自信ある」
「……大丈夫だよ、殺されるようなことしない」
「あ、勘違いしないで、浮気相手の方だから」


……それが一番おぞましいよ。
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