綺桜の舞う
電話を切った俺たちは即座に動き出す。


「ストップ、湊はいいよ、帰んな」
「行くよ。俺、戦えないわけじゃないし」
「じゃなくて。叶奏ちゃん。早く帰ったげなきゃなんでしょ?」
「……まぁ」


俺は少し戸惑う。
今ここで行かないのは……ちょっと。


「俺はちゃんと、叶奏の居場所守りたいから」
「……早く帰れるように努力はする」


俺たちは常駐虫たちに声をかけて急いで繁華街へ。


人だかり、バイクのエンジン音。
男たちの喧しい、声と。


「……っ、」


その中心に背中合わせの朔と蛍。


「あーの?おにーさんたち。狙う人たち間違えてなーい?」


伊織がにっこり、声をかける。
その声に、男たちは、俺らの方を向いて。
総勢200。
2人相手に……なんだ、この規模。


「おーおー、予想通り、綺龍の皆さんのお出ましで」
「予想通り、って?」
「いやいや、仲間が襲われたらさすがにくるかなって。一応、重要人材のお二人なご様子で?」
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