綺桜の舞う
なんなら。


「調子いいからって、攻撃寄越すなよ……っ」
「たまには働け〜、今日なら死なねーから。彼女のためにふぁーいと」


鬱陶しい喋り方をする伊織に反応してか、敵戦力の一部が俺の方へ拳を投げ出す。
俺はそれを交わして、1人の頭を踏んで飛び上がる。
そのまま数人ぶっ潰し。


狭い範囲での、縦に長い攻撃。
誰がするんだって、俺も思うよ。
訳わかんない戦い方してんなって。
……さぁて、今日は本当に。


「調子良すぎな」


現役時代の感覚を思う。
いや、よくないけども。
空中跳び膝蹴り、とか下手したら鼻ぶっ飛ぶし。


ただし。


「……っ、きっつ」


伊織の声。
軽い身のこなしで相手の攻撃を交わすけど、それだけ。
人数が多い分、隙を狙えない。
陽向は割と潰してるけど、変に気が散っていて、動きが鈍い。


数の暴力に、勝てない。


……くっそ、押されてる。
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