綺桜の舞う
再度動き出す次元は全て叶奏に向かって拳が飛ぶ。
夜桜の尽力もあってか三分の一は落ちているものの残りは100。
恐ろしい、数だ。


「ね〜、弱いんですけど。
もうちょっと手応えある人、いませんか?」


煽りが、


「これでトップ潰すとか、考えが甘すぎじゃないですか?」


止まらない。


誰の比にもならないくらいのスピードで叶奏は人間を虫けらの如く潰していく。
瞬きするのも許されないくらい、素早い身のこなし。
……本当に、風邪をひいてるようには、思えない。


「……強いね」


残留したひょろひょろを潰してすぐ、陽向は叶奏の方をみてそういう。
泣きそうな顔。
どうしようもないくらい、悲しそうな顔。


俺は陽向の頭を撫でる。


「大丈夫」
「……わかってるよ。僕が一番、知ってる」


陽向はそんな含みのある言葉を持って、ポタリ、と涙を流した。


「泣いてないで。交戦。
ほら、総長1人であの人数は厳しいに決まってんでしょ」
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