綺桜の舞う
◇ ◇ ◇



しばらくして抗争は終わった。
敵襲が全員倒れたから。


夜桜総長の到着による形勢逆転、圧勝。
立っているのはボロボロの叶奏と、ほとんど無傷の夜桜の面子。
それと、俺たち。


「……帰ろうか」
「総長、何できたの?」
「ん?バイク運転できそうになかったからめっちゃ走ってきたよ」
「だよね、私送ってくよ」
「うん、ありがとう」


叶奏はそう言って、ふらり、と揺らぐ。


「……っ、」
「はい、落ち着いてね〜。今日は私が泊まって行ってあげるから、湊くんはおうちにいなさい」


有村はそう言って俺を止めると、叶奏をおぶる。


「湊君が倒れて、誰が一番悲しむか、考えてね」


有村はそういうと颯爽と歩き出した。


「……」
「さっ、湊も不安なら帰んな?片付けは俺らでしとくから、な?」


……俺、使えな。
彼女が辛そうに息してても、俺はなんもしてやれない。
帰って俺が心配されてて……死にた。
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