綺桜の舞う
俺はバイクに乗って有村の後ろをついていく。
有村の腰に巻き付いた叶奏の体がやけに小さく見えて。


家についてからも、大丈夫だから、と有村に言われて、何もしてやることもなく帰宅。


……何やってんだろ、俺。


荷物を置いて、キッチンへ。
叶奏が食べたであろう器が流しに置かれている。
少し残ってるところを見たら、食欲もあまりないのか、と。


俺は洗い物をして、ソファに座る。


……叶奏の部屋行ったら、有村に絶対怒られるよなって。
だからいけないから。
無力感に苛まれる。


……こういう時って、どうするもんなんだろう。
申し訳ない気持ちにしかならない。


「みーにゃんっ!」


バタンっ、と勢いよく開く扉の音。
その後すぐに来るのは衝撃。
構えられてなかった俺は、ソファに押し倒されて、その上にはにっこり笑う陽向。


「……普通にびっくりした」
「みーにゃんが寂しくなっちゃってるかなって来たよ?」
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