綺桜の舞う
後日、叶奏から直接それに関してあーだこーだ言われたけども、まぁ。
今年も店番回避。
クラス委員の女子を言いくるめて、久々に自分の顔にこれほどないまでに感謝した。


まぁでも、そんなことしたら。
俺の部屋に入り浸る女はすごく拗ねるわけで。


「湊くんのコスプレ見たかった……」
「無理。恥ずかしすぎて死ぬ」
「……でも見たかった」
「却下」


洗い物をする俺に後ろからギュッと抱きついている口を尖らせた叶奏。


「でもさ?……でもでも」
「うん」
「……でもぉっ」
「うるさいうるさい。何言っても着ないって」
「いじわる……」
「そんな普段のじゃ満足できない?」


一応、確認がてら意地悪を言ってみる。
まぁ言ったところで帰ってくる答えなんてわかってるし、まぁそれなりの言い訳もくれることくらいわかってる。


「満足だよ?制服も私服も、かっこいいもん……でもでも、普段しない格好してるの見ると、新しい一面しれた感じして嬉しいじゃん……?」
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