綺桜の舞う
てっきり伊織の女らかと思ってた。
伊織は廊下にもたれて苦笑いしている。


「ひ、姫野さんと付き合い始めたって……ほんと?」
「あ?……あぁ、うん。そうだね」


そういうと、女子たちはあからさまに落ち込んだ顔をした。


「なんかあった?」
「あ、いや……別に、大丈夫だよ」


そう言って、女子たちはパタパタと去っていった。


……なんだったんだろうか。


「罪な男だねぇ〜。
同時に3人は相手してあげられるくらいに寛容にならないと」
「あー……そういう話だったのか」
「気づいてなかったの?」
「鈍感なもんで」


苦笑いを浮かべながら、俺の隣を歩き出す伊織。


「お前もさー。
そろそろ自分がどういう層にモテてるかくらい理解しろよー?」
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