綺桜の舞う
「って言われてもな。よくわかんないだろ」
「ま、湊は女の子と喋んないからどーせ顔なんだろうけど。
そーいう顔好きな子見極めなよ〜」
「へーへー」


伊織と違って、そーいうのは本当にわからん。
難しいこと言われても困る。


「あっ、湊くんっ」
「うぉっ」


突然、ドスッと後ろから衝撃が走った。
考えるまでもなく姫野だった。


「あ〜、叶奏ちゃんじゃーん」
「伊織くん、こんにちはっ」
「どーしたの?」


背中に姫野の手を感じるのに、姫野は伊織と喋ってる。
なんか、わかるかな、この複雑な感じ。


「湊くん見つけたから来ただけだよ」
「湊愛されてんね〜」


伊織は嬉しそうに俺を茶化す。
そういうの、いらない。
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