綺桜の舞う
「……もう誰を信じるべきなんだろうな」
「さぁ?夜桜はお互いを信じてるわりに詮索し合わないから、少しヒビが入ると崩壊する危険が高い、ってことだね。
……少なくとも、今回ばかりは何も詮索しないで綺麗に片付けられるような案件じゃないよ」


伊織は生え際から黒くなってきている髪をかきあげて、壁から背中を離す。


「叶奏ちゃんしばらく退院できないらしいんだけど、湊は?」
「明後日にはもういいって」
「そっか。じゃあとりあえず、明後日、俺学校帰り夜桜のとこ行くから。湊どうせ休むだろ?夜桜来てね?」
「あぁ、わかった」


俺じゃあ学校行ってくる、とさながら間に合うみたいに当たり前のように遅刻していた。もはや学校に着く頃にはあと1限だろうに。
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