綺桜の舞う
その間にもニヤニヤとしながらジリジリ近づいてくる敵。20人弱。
それでも路地を埋めるには十分な数。


「とりあえず、助けが来るまでは繋がないといけないよな」
「えっ……でも、湊くん」


心配そうな顔で俺のことを見上げる姫野。


自分の体調面的にも体力面的にも、不安なところしかない。
族立ち上げてからケンカなんてほぼしてないし、できたもんじゃない。
体は鈍りまくってるし、最近はいろんなことをサボりがちだったから、それ以外の危険性だってこの体は持ち合わせている。


既にズタズタかもしれない体に鞭打って……てか?
上等すぎる。


「あれ、もしかして一緒にいるのは戦えないと噂の綺龍副総長さん?」
「どーだろーな」
「もしそうなら、絶好のチャンスだね」
「何の?」
「姫様を連れ帰る、いいチャンス」


ニヤニヤとしながら前後から俺に殴りかかってくる男たち。
俺は慌ててかわすと、距離を取る。
鈍い、俺が。単純に鈍っている。
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