綺桜の舞う
朔は素早い動きで蛍に殴りかかる。
慌ててかわすと、体制を立て直して攻撃に移る。


「蛍。お前が負けたら、俺と帰る。これ強制」
「蛍は負けないよ」
「わかんねぇだろ」


朔はいつものように先手必勝と言わんばかりの攻撃を展開してくる。
ただ、朔は蛍じゃ役不足だ。全然弱い。
この辺じゃ負けなしの夜桜の特攻隊長も、刃牙には通用しない。


蛍には、通用しない。


繰り出される攻撃を交わして、攻撃と攻撃の間の隙を狙う。
得意技は叶奏と同じ。足技。


蛍の足が脇腹にクリーンヒットした朔はよろよろと数歩、下がる。


「その強さ……どこに隠してたんだよ」
「そんなの言ったら叶奏だって同じ。記憶失う前から隠してたでしょ。あの子もっと強い」
「あぁ、だろうな」


周りの綺龍のメンツはどんどんボロボロになっていく。
ちらほらいる夜桜も集団戦法には四苦八苦しているらしい。


ざっ、と地面を鳴らす。


「蛍が、ここを任されてるの。先には、進ませない」
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