綺桜の舞う
ニヤニヤと笑うユッキー。
打って変わって、素の優しい笑みを向けて、琥珀ちゃんの顔を見つめて手を差し伸べる。


「はい、お姫様の命を狙う仲間だかなんだかは知らないけど。そういうのはいなくなりました。
それでも琥珀は刃牙の人間って言い張る?」
「……」
「一応、約束守れたと思うんだけど」


ポタポタと涙を落とす琥珀ちゃん。
まだ恐怖は残るのか、事実として受け止めることに時間がかかっているのか、イエスもノーも言わずにただユッキーを見つめて立ち尽くしている。


「……で、も」
「何?まだなんかやなわけ?
はぁ……じゃあさ。
今まで散々捨て駒として色々使われた刃牙と、助けるって約束してまぁ1年もかかっちゃったけどちゃんと約束守った俺、どっちの手を取るのが俺の幸せになると思う?」


俺の、を強調するユッキー。


「───好きだよ、琥珀」


琥珀ちゃんは、涙で顔をぐちゃぐちゃにして、ユッキーに抱きついた。


「うぅ……遅いよぉ……」
「ごめん、一応頑張ったよ」
「うん……っ、うん、ユキ……っ」
「ん、俺もう琥珀のこと離さなくていい?」
「離さないで……ずっと、ユキと一緒にいたい」
「それは告白ってとってもいい?」


ユッキーの腕の中で、激しく頷く琥珀ちゃん。
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