綺桜の舞う
……あーらら、幸せになっちゃって、もう。


「……よかった」


報われて。
ずっと片想いみたいな顔してたし。
夜桜としての立場とか、琥珀ちゃんとの約束とか、色々考えることはあったんだろうけど。
ちゃんと自分貫いてくれててよかった。


あぁ、もう。早く倒して帰らなきゃ。
俺も、あんずちゃんに会いたい。


───カチャリ。


俺も。
……、ん、い、まの……?


「……っ、ユキ!!!」


───バンッ


焦りすぎてあだ名すら消えてしまった俺の叫び声。
俺より一足先にその気配に気付いていたユッキーは、琥珀ちゃんを抱きしめたまま、1メートル、後ろへ飛びのいた。


「……お、父様」


さっきまで、敵が倒れていたはずの上に、拳銃を握って立つ男。
……まさか、この人が顔を出すとは。


「天馬……」


この抗争、終わったかもしれない。



しかも、最悪の結末で。
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