綺桜の舞う
「背中も一応みる?」
「んーん、殴られた記憶ないから大丈夫」
「ん」


俺は道具片付けて棚に戻す。


「湊くん湊くん」
「ん?」
「私、頑張った?」
「あぁ。頑張りすぎかもな」
「じゃあ、ご褒美欲しい」


叶奏は俺の服の裾を引く。


「今日の晩ご飯はハンバーグとか」
「ほんとに!?やったー!」
「……本当にそれでいいの?」
「……できればもう一声」


俺はそう言う叶奏の耳に口を寄せる。


「好きだよ」


チュッとキスを落とすと、顔を赤くする。
……あーどうしよう。本当に唆る。
やばい。


「私も好き」


ギュッと抱きついてくる叶奏の背中に腕を回す。


「だから、あんま無理しないで」
「……うん」
「戦うの下手なのにまた1人で出て行ったら今度は閉じ込める」
「物騒だね」
「嫌ならバカなことしないで」
「うん」


……あーあ、何俺。
こんな過保護じゃなくない?
好きすぎかよ。
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