わがままな女神たち
「麗子さん、データの整理終わりました」

午前中では終わらないだろうと思って渡した仕事を、小熊はあっという間に片づけてしまった。
大学で情報工学を専攻した麗子よりも仕事が早くて、その上ミスもない。
多少一般常識に欠けるところはあるけれど、それは若さ故で教えればきちんと学習してくれる。
やっぱり出来る子なのよねえ。

「じゃあ、あとは午後にして休憩にしましょう」
「はい。そうだ、麗子さんお昼はどうします?」
「うーん、そうねえ」

ここ最近はお弁当持参か、買ってきてデスクで食べることが増えている。
社食に行けば人目が気になるし、なるべく目立たないようにする癖がついてしまって・・・

「何か買ってきましょうか?」
すでに財布を手に立ち上がった小熊。

「今日はいいわ。最近、胃もたれが酷いの」

食欲がないわけではないけれど、食べてしばらくすると吐き気がして戻してしまうことが多い。
食後の胃もたれを考えると不安になってつい食事をセーブしてしまう。

「大丈夫ですか?病院へ行った方がいいですよ」
「うん。今度の休みにでも行ってみるわ」

結婚前の女性がこんな症状を訴えれば、多くの人は『妊娠?』と思うだろう。
でも、麗子はそうではない確証がある。
だって、麗子の月のものの周期はきっかり28日。酷いときや軽いときの違いはあっても、周期は狂ったことはない。
それに今から2週間前、間違いなく『きた』。いつもよりとっても少なかったけれど、間違いない。
である以上、妊娠の可能性は無し。
となると・・・
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