My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
(アヴェイラがあんなこと言うから……)
“想い合っている”という言葉があれからずっと引っかかったままだ。それに。
「うまくいくといいね」
隣にいるフィルくんにそう声を掛けると、同じように緊張した面持ちでいた彼が少し気まずそうな笑顔をこちらに向けた。
「そ、そうですね!」
“カノンに、これ以上近づくな”
彼から聞いたその言葉も間違いなくこの気持ちに拍車をかけていた。
(だから違うんだってば!)
私は軽く頭を振って、肉眼でも捉えることが出来たまだ遠く小さな船を見つめた。
ちなみに手紙が届く前に攻撃されてはたまらないと、こちらの目立つピンクの旗は今は下ろしている。