ヤマジ君の…ヒミツ★
「これって……ヤマジ君の……?」
「うん。うちのバンドだけじゃないけど。いくつか集まってイベントやるんだ。良かったら聴きにきてよ」
ヤマジ君はバンドを組んでいて、ベースを弾いている。
そのバンドはヤマジ君のルックスのせいもあって、地元ではかなり人気があるらしい。
「でも、いいの? タダでもらってしまって……」
「いいよ。仕事、全部やってくれてるし。そのお礼」
そう言ってニッコリ微笑むヤマジ君。
――天使だ。
天使降臨。
なんなのだろう。
ヤマジ君と話していると、なぜか自分が汚れているような気がしてしょうがない。
ヤマジ君の後ろから後光が差してるっ。
ううっ。
眩しいっ。
あたしはクラクラと眩暈を覚えてしまうのであった。
と、その時。
「うぃーっす。お疲れー」
勢い良くドアを開ける音ともに、なんとも能天気な声が聞こえてきた。
その声の方へ振り向くと、男子生徒が一人、部屋の入り口に立ってこちらを見ていた。