ヤマジ君の…ヒミツ★
それにしても不思議だ……。
なんでヤマジ君はどんな女の子にもなびかないんだろう……。
考えた結果、あたしはある一つの結論に達した。
ヤマジ君はつまり……“そっち”の気があるんだと。
そうよね。
きっと、そうに違いない。
あたしは、相変わらず男子のアンケート用紙を熱心に眺めているヤマジ君に、確信に満ちた眼差しを向けた。
ヤマジ君、あたしになら本心を打ち明けてくれていいのよ?
人には色んな恋のカタチがあるもの。
例えあなたが道ならぬ恋をしていたとしても、あたしはそれを応援する。
性別という垣根を乗り越えてこそ、本物の愛ってもんよ。
カミングアウト、ぷりーず。
うんうん……と意味不明に頷くあたしの視線にヤマジ君がまた気付いた。
「あ……そだ。桜井さん」
「桜田ですけど……」というあたしの言葉は無視して、ヤマジ君は喋り出す。
「これあげる。良かったら遊びにきて」
ヤマジ君は制服のポケットから取り出した、黒いチケットのような紙切れを二枚差し出す。