片思いー終わる日はじめる日ー
 くすくす笑いながらあたしのシャーペンを取り上げて、さらさらとノートに数字を並べる。
 うつむいた頭を見下ろすなんて初めてだ。
 あっ……。
「やっぱり、男の子って全然…ちがうや」
「なにが?」
「シャンプーの、匂い」
「どれ?」
 (ばく)の唇が耳に触れるほど近づいて。
 あたしは息が止まるのに。
「ほんとだ」
 麦はすぐにノートにもどる。

 あたしって……。
 あたしだけ。
 イシキカジョウ…なのかな。

「ば…くって」
 いつも心のなかでは、そう呼んでいたくせに。
「こんな絵、描くんだね」
 声にしてみたら唇がふるえて、声がかすれた。
「なんだ、ピカソみたいなのでも想像してた?」
 なのに麦の返事は、せんぜんふつうで。
 態度も少しも変わらない。
 それが――…

 うれしいような。
 くやしいような。
 つまんないよう、な?


 
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